求人票に「AI活用」「生成AIを導入」と書かれていても、実態は大きく異なります。専門チームが動いている組織もあれば、既存ツールを契約しただけの組織もあります。
どちらも求人票では同じように見えます。入社後の落差は、ここで生まれます。
この記事は、応募前に実態を推測するための読み方と、面接で確認すべきことをまとめたものです。
求人票のどこを見るか
1. 必須要件と歓迎要件のギャップ
もっとも情報量があるのはここです。業務内容が抽象的でも、必須要件は具体的に書かざるを得ません。
- 必須要件にAI関連が一つもない → 実務でAIに触れる比重は低い可能性が高い
- 歓迎要件にだけAI関連がある → 入社後に関われるかは配属次第
- 必須要件が「Python」だけ → AI固有の業務は限定的かもしれない
業務内容に「生成AIを活用した開発」と書きつつ、必須要件が一般的なWeb開発のみ、というケースはよくあります。この場合、実態は通常の開発業務に近いと考えるほうが安全です。
2. 業務内容に使われている動詞
名詞ではなく動詞を読みます。
| 動詞 | 読み取れること |
|---|---|
| 設計する・評価する・検証する | 意思決定に関わる。役割が定義されている |
| 実装する・統合する・構築する | 手を動かす役割。範囲は明確 |
| 活用する・推進する・検討する | 何をするかが決まっていない可能性がある |
| 支援する・サポートする | 主担当ではない |
「活用」「推進」だけで構成されている求人票は、社内でまだ具体化されていないサインになり得ます。
3. チーム構成の記載
- 専門チームの人数が書かれている → 組織として体制がある
- 「立ち上げメンバー募集」 → ゼロからになる。裁量は大きいが整備の仕事が多い
- 記載がない → 面接で必ず確認する
4. 「AI」以外の部分
意外に見落とされますが、AIと無関係な記載のほうが実態を語ることがあります。
開発環境、テストの方針、レビュー体制、リリース頻度。これらが具体的に書かれている組織は、AI以前に開発の基礎が整っています。逆にここが空白で「AI活用」だけが目立つ求人は、言葉が先行している可能性があります。
面接で聞くこと
求人票で分からなかった部分は、面接で埋めます。抽象的な質問には抽象的な答えが返ってくるので、具体的に聞きます。
実態を測る質問
- 「直近3か月で、AI関連で実際にリリースしたものは何ですか」 もっとも効く質問です。答えが出てこない場合、まだ構想段階の可能性があります。
- 「そのプロジェクトは、いま何人で動いていますか」 人数と体制が分かります。
- 「AI関連の業務は、全体の業務時間のどのくらいを占めますか」 「AI関連ポジション」でも、実際は既存業務が大半という場合があります。
継続性を測る質問
- 「AI関連の取り組みは、どの部署が予算を持っていますか」 事業部門が持っているなら継続しやすく、実験的な予算なら縮小の可能性があります。
- 「うまくいかなかった取り組みはありますか。何が原因でしたか」 この質問に具体的に答えられる組織は、実際にやっています。
自分の役割を確認する質問
- 「入社後3か月で期待されることは何ですか」
- 「モデルを作る仕事と、組み込む仕事のどちらが中心になりますか」
役割の違いについては、こちらで整理しています。
実態が薄い求人は避けるべきか
必ずしもそうではありません。判断は目的によって変わります。
入る価値がある場合
- 立ち上げから関わりたい。整備の仕事を含めて経験にしたい
- 事業部門が予算を持っており、継続する見込みがある
- 現職より裁量が明らかに大きい
避けたほうがよい場合
- すでにAI関連の実務経験があり、さらに深めたい
- 「AI人材として採用したい」と言われているが、業務内容が具体化されていない
- 入社後の役割について、面接で明確な答えが返ってこない
問題は実態が薄いことではなく、それを知らずに入ることです。知ったうえで選ぶなら、どちらも合理的な判断になります。
求人票だけで判断しない
ここまで書いておいてなんですが、求人票から読み取れることには限界があります。書いた人が現場の人とは限らないためです。
現場の情報を持っている相手を経由すると、求人票に書かれていない開発体制やチームの状況を、応募前に確認できることがあります。応募数を絞りたい場合はとくに有効です。
IT・Web系特化型 転職エージェント
レバテックキャリア
ITエンジニア・クリエイター職に特化した転職エージェント。技術領域の話が通じる担当者に当たりやすいのが特徴とされる。
この記事で挙げる理由求人票に書かれていない開発体制・チーム構成を、応募前に確認したいため
向いている人
- 開発職としてのキャリアを継続しながら年収を上げたい
- 使用技術やチーム体制を具体的に確認したうえで応募したい
- SESから自社開発・受託開発への移動を検討している
向いていない人
- 開発職から離れ、非IT職・事業側へ転向したい
- 実務経験がなく、まず経験を積む段階にある
- 地方在住で、勤務地を動かせない
注意点
- IT職に特化しているため、非IT職への転向相談には向かない
- 求人の中心は首都圏・関西圏。地方求人は事前に確認が必要
面談・登録の前に確認しておきたいこと
- 紹介予定の企業の開発体制(内製比率、レビュー、テストの運用)はどうなっているか
- 提示年収のうち、固定残業代はいくら含まれているか
- 自分の技術領域で、直近どのレンジの求人が動いているか
※ リンク準備中
よくある質問
- 求人票に「生成AI」とあれば新しい取り組みですか?
- 記載があること自体は、取り組みの深さを示しません。必須要件と業務内容の動詞、チーム構成をあわせて読んでください。
- 面接で細かく聞くと印象が悪くなりませんか?
- 具体的な質問は、業務を理解しようとしている姿勢として受け取られることが一般的です。ただし待遇面のみを繰り返し確認する場合は印象が変わりうるため、業務内容の確認を先に置いてください。
- 入社後に「話が違う」となった場合はどうすればよいですか?
- 入社前に確認した内容を記録しておくと、社内での役割調整の交渉材料になります。確認した日時と相手を残しておくことをおすすめします。
